保食神

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保食神(うけもちのかみ)は、日本神話に登場する神。『古事記』には登場せず、『日本書紀』の神産みの段の第十一の一書にのみ登場する。神話での記述内容から、女神と考えられている。

神話での記述内容

日本書紀の記述

天照大神(あまてらすおおみかみ)は月夜見尊(つくよみのみこと)に、葦原中国(あしはらなかつくに)にいる保食神という神を見てくるよう命じた。月夜見尊が保食神の所へ行くと、保食神は、陸を向いて口から米飯を吐き出し、海を向いて口から魚を吐き出し、山を向いて口から獣を吐き出し、それらで月夜見尊をもてなした。月夜見尊は「吐き出したものを食べさせるとは汚らわしい」と怒り、保食神を斬ってしまった。それを聞いた天照大神は怒り、もう月夜見尊とは会いたくないと言った。それで太陽と月は昼と夜とに別れて出るようになったのである。

天照大神が保食神の所に天熊人(あめのくまひと)を遣わすと、保食神は死んでいた。保食神の屍体の頭から牛馬、額から粟、眉から蚕、目から稗、腹から稲、陰部から麦・大豆・小豆が生まれた。天熊人がこれらを全て持ち帰ると、天照大神は喜び、民が生きてゆくために必要な食物だとしてこれらを田畑の種とした。その種は秋に実り、この「秋」は『日本書紀』に記された最初の季節である。

古事記では別の神に同様の記述も

『古事記』では、同様の話が別の神様の話として記述されています。須佐之男命(すさのおのみこと)が大気都比売神(おおげつひめ)を訪ねると、大気都比売神は鼻や口、尻から取り出した食物を調理して須佐之男命に食べさせた。それを覗き見した須佐之男命が「そんな汚いものを食べさせたのか」と怒って斬ってしまうという話です。こちらも同様に、殺された大気都比売神の体から蚕や稲、粟、小豆、麦、大豆が生まれたと伝えられています。

五穀豊穣、そして料理の神様としても

どちらの話も共通して、保食神(または大気都比売神)が自分の体から海の幸や山の幸をふんだんに取り出し食べさせています。また、死後にその体から多くの生活に欠かせない穀物たちが生まれたことから五穀豊穣の神となっています。

また、自分の体から取り出した食材を調理してもてなしたことから、「料理する」「おもてなし」といった意味も含まれています。そういったことから、保食神は「お寿司屋さんの神様」として人気があるのです。

保食神が主祭神の茨城の神社

神社名所在地
女化神社茨城県龍ケ崎市
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