執金剛伸

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執金剛神(しゅこんごうじん、しゅうこんごうじん、しゅっこんごうじん)は、金剛手、持金剛神とも称される仏教の護法善神である。金剛杵(こんごうしょ)を執って仏法を守るため、この名がある。

金剛杵は、仏の智慧が煩悩を打破する武器であることを象徴している。

金剛力士と同じだが、金剛力士は密迹・那羅延の2人の裸形姿であるのに対し、執金剛神は1人の武将姿として造形安置されるのが一般的である。また金剛力士(仁王)と起源を同一とする考え方もある。

インドではヴァジュラパーニ(Vajrapāṇi)と呼ばれ、造形的には半裸形で表現されている。中国・日本では、忿怒相で身体を甲冑で固めた武神として表される。

起源はギリシア神話の英雄ヘラクレスであるとされる。ヘラクレスは「獅子の毛皮を身に纏い、手に棍棒を持つ髭面の男性」という姿で表されるのが一般的だが、インドにおける執金剛神の造形も、それと同様である。

クシャーナ朝のカニシカ王の時代に隆盛を極めたガンダーラ美術では、仏陀の脇侍としてヘラクレスが配される例がしばしば見られる。執金剛神が生まれた経緯は、ガンダーラにおける仏像製作と同じくヘレニズムの影響によるものと考えられる。

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